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natsuno07

詩のクロッキー帖

author: natsuno07
空飛ぶ色いろ

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ルーティン

月曜も水曜も早送りで
また桜ふぶきの道を駅まで歩いている
おもえば
一年前はもっとかなしんでいた気がする
十年前はもっともっとかなしんでいたかもしれない

今現在
マニュキュアには飽きたし
爪は健康第一
紙ヒコーキみたいに諦めを飛ばせば
スイっと飛んでいくとはいえ
必ず誰かが拾うわけじゃない
とよくわかっている

かすれたように感じられる夢に
しがみつきすぎてはいけないと知っているし
年毎に別人になれたような若さは
もう遠いこともわかっている

早春の朝
顔を洗って
コーヒーを入れて
天気予報を見て
指輪を決める

でもどれだけ早送りしたって
かなしまないわけじゃない
いろんなかなしみに
区別がつかないくらいたくさんのかなしみに
似たり寄ったりのかなしみに
抗っていないわけじゃない
たとえそれが
習慣に過ぎないように見えたって
まったく慣れるということはない

そしてそれが何曜日だろうと
なんとか立ち直ろうとする
きのうより、一年前よりずっと
立ち直ろうとおもっている


2018-3-29






花の色は

かすれかすれのくせに
なにか問題でも?という様子ででてきた
今後の3年後の10年後の
こんなことをいったい何年やるのよというような
試し刷りというようなものに
ほとほと嫌気がさしてしまった

試案はともかくイエローはともかくマゼンダがない
思案はたっぷりイエローはまあまぁでもマゼンダはない
といったようについ変換しやすいシアンだけが
妙に意味深く記憶に残りがちだけれど

ないのはマゼンダだ

よくも だ を重ねてくれたね
わかってるけど
今後も3年後も10年後も
生きていることができるのだとしたら
住所氏名年齢にまっすぐ向き合って
なんでこんなに線がはいるのかとか
どうして色が汚いのかとか
派手過ぎはしないかとか
いくらなんでも地味すぎだろうとか
きちんと考えておくべきだとおもう

とまたまた「しあん」ばかりが
頭に入ってきがちで
そもそも
なにが足りないのか忘れ
そして取り返しのつかないほど
時はたってしまう
すぐ12月になってしまうくらいに

ないのはマゼンダ

花っぽい色
夢的な色
バスの座席のところに
つい忘れてきてしまった折り畳み傘みたいな色
ながめせしまに
いいそびれた色
その春めいた色
たとえば
そのような色

2018-3-28








シア・シュガー

シア・シュガー
という名のマニュキュアの
白い指先で物語をなぞる
少し溶けて固まったお砂糖色の
甘い指先

クシャクシャにして
捨ててあったネガフィルムの窓から覗くと
真っ白な唇をした
あなたが屈託なく笑っている
夏に刻まれた逆向きの日付

空もよく晴れている
あなたの物語が
ゆがめられると
水のなかで
笑顔が気弱に泳ぐ

砂糖の味がする指先で物語をなぞる
ゆらゆらと浮かび上がる
正確な向きの日付
夏の快晴

平和な光のなかで
ゆっくり定着していく
あなたの物語を祈る
手を宙にかざして
息をふきかける







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